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Cyril Nevilleの思うニューオリンズ

Cyril Nevilleの思うニューオリンズ_e0064446_0523079.jpg
少し古いねたですので、現在の彼の気持ちはわかりませんが、内容があまりにもショッキングなので載せます。まものさんによる訳。(福)
シリル・ネビル(写真右)は、12月にシカゴからニューオリンズまで各地を回る12日間のツアーに出発するため、ニューオリンズのアムトラックに乗り込んだ。このツアーは、ハリケーンカトリーナの被災者を支援する基金のために寄付を募る目的で行われるもので、シンガーソングライターのアーロガスリーも一緒だ。 しかし、シリルが個人的にニューオリンズ行きの列車に乗り込むつもりはなさそうだ。家にはもう戻らないと決めたというのだから。

ニューオリンズ音楽シーンを担うネビル家の兄弟たちで結成されたネビルブラザーズの一番若いメンバーであるシリルは、パーカッションとボーカル担当で56歳になる。ツアーに出かける直前のインタビューで、シリルは妻のゲイネルと一緒にテキサス州オースティンに家を購入したと語った。シリルの他にも、甥のアイバン・ネビル、ラジエーターズ、イグアナズ、その他数多くのニューオリンズミュージシャンたちが避難後そのままオースティンに住んでいるが、中には俄仕立てのテキサスバンドとして活動しているミュージシャンもいるという。

Cyril Nevilleの思うニューオリンズ_e0064446_2213259.jpg彼らはニューオリンズの復興について、異なる意見を持っているようだ。「ニューオリンズにまた住む気があるかって?あそこには何もないよ。元々、ミュージシャンを取り巻く環境なんて、笑い話みたいなもんだったんだ。みんなニューオリンズは音楽が盛んだと思ってたようだけど、実際は違う。まともな仕事なんて、1年のうちマルディグラとジャズフェス時期のたった2回しかないし、ツアーに行ったり別の仕事をせずにローカルの演奏だけで食っていけてたミュージシャンなんて、僕が知る限りカーミット・ラフィンズ(写真)とピート・ファウンテンだけだね。他はみんな音楽以外の仕事を何かやるか、ツアーに出かけなければ生計を立てることができなかったんだ。オースティンだと、ニューオリンズの二年分くらいの仕事を2ヶ月でやれる」 「ニューオリンズでの生活について、みんなが思ってることのほとんどが作り話だね」

シリルとその家族はジェンティリ地区に住んでいたが、家は住める状態ではない。 「魚じゃないんだから、2メートル近くもある水の中でなんて生きていけるわけがない。第9地区とジェンティリ地区は、土地や家を政府が買い上げて全部更地にするらしい。それで緑地帯かなんかにするみたいだけど、僕が思うに、きっとゴルフコースとかそういうのが出来るんじゃないかな。黒人が歓迎されることはまずないような施設とかね。僕の家自体は大丈夫なんだ。土台もちゃんとしてるし。ただ、冠水したから家の中はぐちゃぐちゃだけどね。家はまだそこに建ってるよ。近所も同じように家やいろんな建物はそのまま残ってる。なのにどうして更地にしなくちゃいけないんだ?おかしいだろ?」

まだ続く被害
「ほとんどの住民にとって、嵐はまだ続いているんだ」
ネビルブラザーズは9月にニューヨークのマジソンスクエアガーデンで行われたハリケーン支援ライブで演奏した。そのとき、シリルの着ていたT-シャツには「ニューオリンズの民族浄化」と書かれていた。ハリケーンが来る前は、ニューオリンズ人口の45万人のうち68%が黒人だったが、12月頭の時点で戻ってきている10万人のうちほとんどが白人であることをネーギン市長も認めている。

Cyril Nevilleの思うニューオリンズ_e0064446_226439.jpgハリケーンカトリーナがニューオリンズを襲った8月の終わり頃、ネビルブラザーズはちょうどニューヨークで演奏していた。ハリケーン後、最初にメンバーが集ったのはテネシー州メンフィス。「メンフィスには3000人もミュージシャンがいるのに、演奏できるクラブは3つしかないんだ。ニューオリンズと同じだよ。ニューオリンズにもまともなクラブは、ティピティーナ(写真)、ハウスオブブルース、メープルリーフの3つしかない。オースティンに住もうと思うのは当然だろ?あそこの音楽シーンはいい感じなんだ」

ネビルブラザーズのメンバーは誰もニューオリンズに戻っていない。アートネビルとアーロンネビルはとりあえずナッシュビルに住んでおり(これからの予定はまだ決まっていない)、チャールズは10年前からマサチューセッツの田舎に住んでいる。
「ハリケーンが来るまで、アーロンと僕とアートとカーミットラフィンズくらいだよ、ニューオリンズに住んでて音楽だけで食べていけてたのは。今じゃ、マルディグラの仕事か何かあるときだけニューオリンズに来るミュージシャンだけじゃないか。ハリケーンの時に、住民を避難させるためのヘリコプターを用意することはできなかったくせに、被害の写真を撮るためだったらいくらでもヘリコプターを出動させてた。特に誰に怒ってるってわけじゃないけど、あの街のために僕らミュージシャンが寄与してきたことを考えたら、ミュージシャンが受ける恩恵は少なすぎるんじゃないか」

Cyril Nevilleの思うニューオリンズ_e0064446_2152694.jpgオースティンの利点
アリゲーターレコード所属のミュージシャンで2005年度グラミー賞にもノミネートされているマーシャボール(写真)は、オースティンの音楽シーンではお馴染みだ。テキサス州オレンジ出身の彼女はルイジアナでミュージシャンとして成長したようなものだが、シリルはニューオリンズミュージシャンを歓迎してくれているオースティンミュージシャンの一人として彼女の名前を挙げている。

「オースティンがシリルから学べることはとっても多いわ。彼はいつも社会に目を向けてメッセージを発信している人よ。子供達と一緒にプロジェクトを行って教育プログラムを設立したりしてるし、今回もオースティン高校と一緒に何かすることが決まっているわ。オースティンと違って、ニューオリンズは将来がないのよ。ニューオリンズの公立高校で一番いい学校を卒業しても仕事なんかないもの」 マーシャは電話インタビューでこう語っていた。

シリルによると、「ニューオリンズとオースティンのミュージシャンは、ミーターズ(写真)の時代からいろんな交流がある。オースティンでギグをやると、5人も6人もギタリストがゲストでステージに上がってきてくれてた。エドガーとジョニーのウィンター兄弟やスティービーレイボーン兄弟なんかがね」 ということらしい。Cyril Nevilleの思うニューオリンズ_e0064446_2212978.jpg

シリルとその妻のゲイネルは、オースティンにあるThreadgill'sというクラブで、毎週火曜日に「New Orleans Cookin' & Jukin'」というレギュラーショーをやっている。ゲイネルがレッドビーンズ&ライスとガンボを料理して出し、Tribe 13で一緒に演奏する。オースティン在住のボーカリスト、パパマリも一緒だ。 「オースティンが僕達を受け入れてくれたやり方は、嬉しいオドロキだった。本当に家族のように受け入れてくれたからね」

シリルとアーロガスリー一家が交流を始めたのは1年半前だ。シリルがレコーディングする予定のソロアルバムで使う曲を探していて、アメリカインディアンのロックバンド「ブラックファイヤ」に行き当たったのだ。このバンドがアーロの「Mean Things Are Happening in This World」という曲をカバーしていた。

「あの曲をすごく気に入ったんで、自分なりにアレンジしてみた。昔からアーロガスリーとウィリーネルソンとは、いつか一緒に何かやりたいと思っていたんだ。僕が音楽に対して持ってるのと同じような姿勢の人たちだと思ってね。ウッディガスリーも同じ感じだよ」

ツアーに参加
この12月に行われる「Ridin' on the City of New Orleans」というチャリティイベントのことを聞いたシリルは、自分からアーロに電話してみたという。「アーロが来ないかと言ってくれたんで、参加することに決めたんだ」シリルは、12月5日シカゴのVic劇場と7日のKankakeeで行われるショーに参加することになっている。「ツアーの最後の方は別の仕事が入っていて参加できないが、この二日間はちょうど空いていたんだよ」

「いろんな人から話を聞くけど、僕よりも大変な思いをしている人はたくさんいる。ニューオリンズで行方不明になってる子供は3000人もいるんだ(政府機関の発表では1300人)。まだまだ識別されていない遺体もいっぱいある。ニューオリンズの人間は徹底的に痛めつけられてしまった。連邦政府と州政府の怠慢によって、たくさんの命が失われてしまった。黒人が正当な権利を受持して、経済的な援助をきちんと受け、フレンチクォーターが受け取っている税金免除のような支援策を受けることができない限り、ニューオリンズは元に戻らないよ。第6地区、第7地区、第8地区、そして第9地区に対する専門の観光委員会を作るべきだ。そのエリアにもホテルやレストランを建設してね。大事なのは主導権だよ。そうなったら、ニューオリンズにまた住んでもいいと思う。この国はまだ平等な民主主義を確立できていないんだ。まだまだその途中なんだ。こんな状況で、真の民主主義を確立する場所がニューオリンズ以外にあると思うかい?」(福)
情報元:Chicago Sun-Times 2005/12/15の記事

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by helpneworleans | 2006-02-01 00:55 | 復興への思い
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